Plant Zero

プラントゼロ

オープンラボ型のアルミリサイクル研究開発ミニプラント

天然資源の乏しい日本にとって、資源を効率的に持続的に利用することは重要です。アルミ産業は富山県にとって重要な産業ですが、
1. 原料のアルミ新地金が全量海外からの輸入であり高騰している。
2. アルミ新地金製造には大量の電気を必要とし、二酸化炭素排出量が高く、今後利用に規制がかかる可能性がある。
という脅威に対する対応が緊急の課題として挙げられます。
 その解決策として、使用済み製品(アルミスクラップ)の活用があります。これを実現するためには、不純物制御、リサイクル材の合金設計・加工・表面処理・接合といった様々な未踏技術課題を解決する必要があります。本研究施設(Plant Zero)では、不純物を含むアルミスクラップからの再生地金の利用を可能にする包括的な技術開発研究を推進します。
さらに、富山におけるリサイクルシステム(資源循環社会モデル)を地域の産官学市民の全ステークホルダーと共に構築し、アルミの環境付加価値を向上させ、EV等の新市場への進出を支援します。
富山にて持続的・自立的な産学官市民の地域共創システムを構築し、その資源循環社会モデルが日本全体に横展開することで、我が国のアルミ産業を含めた素材産業の発展、地球規模での環境保護等に貢献したいと考えます。

異なる添加元素を含んだ様々な使用済み製品(スクラップ)から目的とする品質のアルミ合金再び作り出し、成型加工と接合に至るまでの総合的かつ一気通貫のプロセス開発研究体制が特徴です。リサイクル工程の各所における消費エネルギーの可視化に加えて、それぞれの履歴が最終材質に及ぼす影響度も可視化してフィードバックすることで材料トレーサビリティに依拠したリサイクルプロセスの最適化を図ります。 要素研究領域には本学研究者が担当者として張り付き、さらに他大学研究者が共同します。行政は資源循環システムの大局的な視点で街の仕組み(回収方式など)を創案し、産業界は学術成果の経済合理性も含めた産業実装を試行検討し、最終的には環境負荷を最小限にしたアルミ製品(富山ブランド)を世に出し利益を得ることになります。

富山大学高岡キャンパス(富山県高岡市二上)に設置されます。現在工事中で、2023年竣工予定です。

課題1:不純物除去技術の確立
課題2:アルミドロス低減技術の確立
課題3:リサイクルアルミ合金の高強度化のための熱処理技術の確立
課題4:リサイクルアルミ合金の押出し加工技術の確立
課題5:リサイクルアルミ合金の用途拡大ならびに人材育成

新規研究課題/派生的研究課題も順次立案し実施できます。

アルミリサイクル技術開拓事業は、産学官金そして市民が積極的に参画して未来を共に創っていく「共創」という理念を基軸にします。この共創は、「協調研究領域」と「競争研究領域」の二つの研究領域から成ります。
協調研究領域は、主として大学がその固有技術を基盤とした基礎研究を公開形式で実施し、参画者は随時これに共同することができます。得られる成果は公のもの(大学は特許を取得)となります。ここに共創の本質があります。
競争研究領域は、従来の産学共同研究のことで、大学と企業が個別に研究契約を結んで研究開発を進め、得られる成果は当事者のみに限定されます。

学術、産業、行政、そして市民の4者が利益の享受者になります。アルミ製品のリサイクル技術を地域社会の基盤として根付かせ、大切に使い続け、決して捨てることなく再利用していく「アルミを賢く使い続ける街」の創出に貢献します。アルミに限らず、私たちが使用する全ての製品・素材についても賢く使う仕組みを備えた街づくりに結び付けたいと考えます。役目を終えた製品は「ゴミではなくて、大切な家族と未来への贈り物なのです」

アルミニウムのリサイクル技術を創出しそれを社会実装するために必要な装置が配備されます。主たる装置を以下に紹介します。

研究設備

溶解製錬システム(新設)

独自設計による溶解炉で、最大30㎏のスクラップを一度に雰囲気制御下で溶解し、不純物除去処理に供することができます。

複動式押出しプレス(新設)

世界随一の押出プレスです。直接・間接いずれの押出し加工もできます。リサイクルアルミ材の押出し加工性を評価・分析し、限界不純物量、合金組成や材料組織の最適化指針へとフィードバックします。

円盤摩擦接合装置(新設)

富山大学で開発された世界唯一の接合装置です。金属と樹脂を含めた異種材料の接合技術をリサイクルアルミに適用する研究に用います。

透過電子顕微鏡(新設)

原子レベルで材料の内部状態を精密に観察・分析する装置です。アルミ中の不純物元素の存在状態の評価や新物質の探索に威力を発揮します。

EPMA(新設)

ナノレベルの空間分解能を有し、広い観察視野にてエネルギー分散と波長分散の2モードでの元素分布を含めた材料組織を評価する装置です。透過電子顕微鏡やX線回折装置などの分析データを組み合わせて高精度に組織評価を行えます。

DXシステム(新設)

実験装置の運転状況(エネルギー消費、二酸化炭素排出量、温度、圧力など)や各種測定データをネットワーク経由で一元管理するデータサーバーを設置します。強固なデータセキュリティ機能を有しています。これにより、カーボンフットプリントやLCA評価はもとより、材料プロセスの履歴と環境負荷を俯瞰的に評価し、さらに材料特性との関連付けもできるようになります。リサイクルアルミ製品のトレーサビリティのテンプレートになるデータ処理ができます。また、過去のデータと照合すること、さらには未来の状態を予測することにも展開します。

これらの装置の他に、光学顕微鏡、全自動ビッカース硬さ計、引張試験機、熱処理用電気炉、研磨機、切断機等各種試料作製機器も多数配置されます。
さらに、隣接する富山県産業技術研究開発センターの装置を補完的に利用(有償)することで効果的に研究できます。

専有研究スペース(有償)

3種類の大きさの専有できる部屋が6部屋あります。オフィスとしての利用に加えて実験室としての利用ができます。

セミナー室

1階に収容定員の異なるセミナー室が2部屋あります。講義、研究会、研修会、子供科学教室、地域の方々との懇話会などに使用できます。ハイブリッド形式も選べます。

コラボラウンジ

軽食や飲料を持ち込んで思い思いに会話を楽しめるエリアを用意しました。新しいアイデアが生まれるといいですね。

リサイクルアルミ事業は、街と人と大学が共に未来を創るというビジョンを持って推進されます。アルミに限らず物を大切に使い、使用後は再利用を当然とする社会システムを持った街が生まれ、その市民であることを誇りに思う人たちがいて、学びの場である大学が教育・研究・社会貢献のそれぞれにおいて先端的機能を有するようになり、これらの好循環が社会をさらに豊かにしていきます。 リサイクルアルミが効果的に利用されることにより日本の二酸化炭素削減量は年間660万トンで、経済効果は4950億円以上と見積もられます。資源という意味での経済安全保障へもリサイクルアルミ技術確立は波及するのです。

アルミニウムのリサイクルを重点的に研究対象とする総合的な材料研究施設として稼働させます。加えて、機械・電機・建築土木などの産業もリサイクルアルミを加工・使用する側から、再生アルミ合金の新規加工技術開発やリサイクルプロセスへのフィードバックを通じて参画できます。 さらに、同時進行的に他の素材(鉄鋼、マグネシウム、チタン、銅、プラスチック、ガラスなど)の資源循環システム構築に寄与します。すなわち、環境負荷評価を基軸にして、データサイエンスを援用しつつ、社会基盤材料を使いこなす総合的な材料研究事業なのです。

アルミリサイクル技術開発プログラムに参画すること、あるいはPlant Zeroを利用することのメリットは、
(1) アルミに関する研究者ならびに技術者と日常的に接することができる。
(2) 共同研究室(オープンラボ、6室)に自社の研究拠点を置ける。(有償)
(3) 国内外の軽金属関連情報を入手できる。
(4) 協調領域で公開される最新データにアクセスできる。
(5) 非公開の研究セミナーや技術講習会に参加できる。
(6) 市民セミナー、科学教室(オンライン実験や施設見学)などに参加できる。
(7) プロダクトデザイン(試作品設計・製作)ミッションに参加できる。
などが挙げられます。

日本のアルミニウム産業の活性化、アルミニウムリサイクルの研究を推進するため、DXに対応した技術実証・検証ミニプラント「Plant Zero」の建設費としてみなさまからの寄付をお願いしています。

個人 1口 10,000円
法人 1口 50,000円

※50,000円以上をご寄附頂いた方には貴名または貴社名を刻印した銘板を先進アルミニウム国際研究センターの壁面等に掲示させていただく予定にしております

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